カリフォルニアテンカラ日記(2) -ダニエルに日本語を教える−

今日はダニエルがアルカトラズとゴールデンゲートブリッジ(金門橋)を案内してくれる。港のすぐ近くにアルカトラズ島が見える。ここにはかってアル・カポネも収容されていたアルカトラズ刑務所があった。陸地から2kmあまりと近いのだが、潮流が速く、さらに厳重な監視で脱獄不可能とされていた。ところがこの刑務所から2名の兄弟が脱獄し、この実話を映画にしたのがクリントイーストウッドの「アルカトラズからの脱獄」である。兄弟の生死は不明なようである。実は日系人もここから脱獄し生還しているのである。デューク東郷(ゴルゴ13)である。このことはアメリカ人は知らない。

港につくと当日の島への渡船はすべて予約済みであった。そこで、港内をひとまわりする。港にはシーライオン(あしか)がアオ、アオと鳴いている。かっては港内に一杯いたようだが、今では数十頭である。ダニエルの話では餌不足なのだそうである。

ダニエルがあるレストランの前で、ここは男性客に人気なのだ、覗いてみろと言う。バトワイザーコスチュームでミニスカートのピチピチギャルがウエイトレスである。なるほどこれなら男性客が多いのも納得である。思わず私もフラフラと入りそうになった。

ここから先は女性は不快に思うので女性は読まない方がいいです。

ダニエルは日本語を勉強しているようだ。ならば生きた日本語こそ身につく。そこでさきほどのムチムチについて、発音と意味を教えた。日本では爆乳という言葉がある。爆発するような乳という意味なのだよ。巨乳の巨はBig。美乳の美はBeautiful、さらに貧乳というのもあって、これはPoorである。ただし、「ビ」という発音には他に「微」もあるよ。これが微乳であり、Microのことと説明した。洗濯板に干ぶどう。

彼は非常に納得した。激しく納得した。他にもあるよ。垂乳というものが。これは発酵がすでに終わり、熱を発しなくなったものである。だからパワーがないので、男の視線はおのずとそこにはいかないので鑑別に値しないのだと。

どれが爆で巨なのか、説明が必要である。そこですれ違う女性を爆、巨、美・・と評価した。ダニエルも声を出して爆、巨・・とか言っている。これは彼にとって生きた勉強である。ところが向こうの女性には太った人が多い。胸から胴、腰までつながっている人の場合、どう評価すればいいのか。評価不可能な人があまりにも多く、肥満社会アメリカの実態をこんなところで再確認したのであった。

ゴールデンブリッジを車で渡った。時間は12時。雲一つない快晴にもかかわらず、橋は霧に覆われ、その霧がサンフランシスコの街をも覆っていた。まさに♪「霧のサンフランスコ」である。この霧を見るために多くの観光客が集まっていた。 あらためて写真を見ると、写っている人は日本ならみんなデブ規格である。しかし、アメリカ人は自分はデブとは思っていない人が多いらしい。

サンフランシスコの霧によって街の地価も違うようだ。ダニエルの住む地区は霧の多いところらしく、地価も安いのだそうで、確かにしばらく車で走ると、そこは霧がなくカリフォルニアの雲一つない太陽が降り注ぐ高級住宅地であった。

さらに郊外の発見者の名前をとったなんとかWoodという公園にも。ここは100m近い巨木の森で、樹齢1000年以上の大木がそびえている。街から1時間足らずのところにこれだけの森があるのには驚きである。ただし、2人の視線は公園を流れる川である。みんな上を見ているのに、2人だけ川を見ている。ここは小さい川だけれど、サケ(コーホサーモン)が遡上するようである。今年は水が少なく、まだ遡上していないようだ。当然、釣り禁止である。

夕方、中野さんと合流し、夕食の買いだしに中国人のマーケットに。なんでもある。カエルも売っている。ナマズも、わけのわからない怪しい魚も。魚は生きているものを買え。死んでいる魚はアブナイとも。

今晩はカニを茹で、アワビとエビの刺身でいこうということになった。料理するのは中野さんである。彼曰く、高校生のとき、料理学校で料理を勉強したらしく、今、その腕が役に立っているという。ゲイは身を助くである。もちろん中野さんはガイである。

実に手際がいい。あっというまに出来上がり。まさかここでこんな料理が食べられるなんて思わなかった。ノンアルコールビールもうまい。昨晩のこともあるので止めればいいのにお茶もしこたま飲んだ。

その夜も、またまたトレイに4回も起きた。二晩続けてである。よく眠れない。ベット横には日本の渓流雑誌がたくさんある。つり人、渓流情報・・。みんなダニエルが買ったものである。じっくり読んだ。なるほど、なるほどフライは魚は毛バリを見分けるという発想からスタートしているのだな。だから見切られたら、毛バリのせいにして際限ない毛バリ遍歴を繰り返すのだ。魚は毛バリは見分けないというテンカラの発想は楽だし、それが正解なのだけど。

明日は講演とデモだけれど、ウツラウツラしている間に夜が明けた。コケコッコー。

ゴールデンゲートブリッジを渡る(動画)

 

その(3)につづく