イギリステンカラ紀行(番外編)

 

ある日の高速のサービスエリアでのこと。オシッコでトイレに入る。あれ?小便器がない。ここは大きい方でするのだろうと蓋を開けてそこですまして出る。

すると、なんと手洗いにオシッコしているオッサンがいる。「オッサン、なにすんだ。そこは・・・」と思っていると、ジッパーを下げながら入って来るオッサンもいる。

なんとそこが小便器なのだ。よく見ると蛇口がない。どこから見てもよくあるステンレスの手洗いなのだ。手洗いに向ってオシッコする。慣れてないとなんとなく罪悪感がある。

滞在したホテルのシャワーが狭かった。電話ボックスを半分にした広さ(狭さ)しかない。身体の向きを変えるのもままならない。身体を折り曲げて足を洗うなんてもってのほかである。太ったオッサンなら入ることも難しいだろう。

滞在中、身体を洗うことはあきらめた。シャワーで流すだけである。トイレは横座りである。場所は十分あるのでもっと広いシャワーにすることができるのに、なぜあんなに狭いのか。

湿気があって暑い日本と違い、汗をあまりかかないので洗うことはどうでもいいのかもしれない。帰国して湯船につかる。洗い場で洗う。あらためていいものだと思った。

ネットー(nettle)の葉に触れて痛い思いをした。草をかき分けると突然、両手が虫に刺されたように、電気が走るように痛い。シマッタ、虫に刺された! すぐにムヒを塗りたくる。ところがいつまでもシカシカと痛い。「痛いよぉ」とスティーブに。ネットーにやられたね。フフッ!

葉の表面に小さい棘があって、そこからの酸で痛みが出るそうだ。イギリスのどこにもある草のようで、彼らは小さい頃から刺されて免疫ができているそうである。

日本に帰って調べたらイラクサというらしい。日本にも仲間があるそうだが、この歳になるまで洗礼を受けなかったのはラッキーである。ネットーに刺されてから、あるのではないかと探しながら歩くようになった。蛇嫌いは蛇を探すのたぐいである。

スティーブが自宅の近くの公園を案内してくれた。人工的な匂いがしない自然にまかせた公園である。広い園内のいたるところにブラックベリーの実がなっていた。珍しいので、最初こそブラックベリーだ!と食べたが、やがてどこにもあることがわかって手も止まった。

誰でも自由に入れる公園で誰もブラックベリーをとらない。日本ならザルをもったオバサンたちでたちまち採りつくされるだろう。公園のものは公共のもので、自分のものではないという暗黙のルールが徹底しているようである。日本でこのルールが当たり前 になるのは難しいかもしれない。

終わり