GWのある日、磯田道史さんの「歴史の愉しみ方」(中公新書)、「日本人の叡智」(新潮新書)を読んだ。映画化もされた「武士の家計簿」の著者である。古文書を読めることから、自分の能力を震災に活かすために、2012年に茨城大学から浜松の公立・静岡文化芸術大学に移った人である。古文書に残されている過去の東海、南海大震災とそれによる津波の記録から、今後、どれほどの地震や津波が予想されるか、それを防災に活かすためである。
「歴史の愉しみ方」の第4章「震災の歴史に学ぶ」で過去、1000年の間におきた地震の規模と津波の高さなどをわかりやすく書いている。その中の「津波と新幹線」はおそろしい内容である。古文書をみると、浜松付近には100~150年に1回、5~6m前後の津波をもたらす「弱いほうの東海地震」がくる。
宝永大津波(1707年)、安政大津波(1854年)がそれであった。遠州海岸の砂丘は明治時代までは10~15mあったので砂丘で津波被害がかなり減らせたそうである。ところが現在は上流にダムができて砂が運ばれて来なくなったので、8m以下になっているらしい。
ところが東海・南海地震は5回に1回は超巨大地震になるそうで、津波の高さは弱いほうの東海地震の3~4倍になるらしい。その地震が最後に日本を襲ったのは明応大地震・明応大津波(1498年)であり、この地震と津波で淡水湖だった浜名湖が海とつながってしまったらしい。
つまり、この規模の地震は500年に一度程度起きており、現在は明応地震から500年後の時期にさしかかっているという。この地震がおきれば浜松では人口集中地に15m程度の巨大津波が来ても不思議ではないという。
磯田さんは新幹線がやられるという。本の中で、旧国鉄は新幹線のルートを決めるとき津波のことを全く考えなかった書いている。浜松と焼津付近の2か所は海に近い。浜名湖では、今切口で湖上の数m上を走っている。静岡市の用宗(もちむね)海岸では新幹線と海が近く、海抜0m付近を走っている。
新幹線は地震が来ても、なんとか脱線せずに持ちこたえるようだが、停車した後を津波が襲う。東北大震災では津波到来まで時間があったが、この付近では時間がないようだ。そんなことを考えると怖くて新幹線にも乗れない。
将来、必ず来る地震と津波対策にこの付近の新幹線ルートの検討が必要と思うが、国もJRも何もしないだろう。そのとき遭遇するかは運のみである。私は運がいいと思っているので、絶対に遭遇することはない。知らない方がよかったのか、知っておいた方がよかったかはわからない。「知らぬが仏」であるが、このHPを読んだ人は知ってしまったわけである。知ぃぃらないっと。 |