寒狭川中部、雨の解禁日

 

2月5日(日)は当年とって還暦の誕生日3日前なのだが、本来なら晴れてしかるべきが、釣り場に着く頃からポツリポツリの雨。昼前から本格的な雨となり、傘をさしてのテンカラとなった。片手で釣りができるのがテンカラのいいところだ。

ここの解禁日が雨になったのは10数年ぶりではないだろうか。若い頃は袖口から浸み込んだ冷たい雨が肘まで濡らすまで頑張った。それだけ釣れたこともあるが、今では解禁日に仲間とおめでとうを言う儀式の日である。

魚も釣れなくなった。成魚放流のアマゴだがこの日は釣り大会の日でもある。ルアー・フライ専用区と言えどもC&Rではないので、朝6時のスタートと同時に大会参加のルアーが釣り上げてしまうようで、10時過ぎにのこのこ釣り場につく我々にはやる気のない魚しかいないのである。

雨とあっていつものヤナ前には釣り人は数えるほどしかいない。それでも三々五々、テンカラマンが集まって、やがて半数はテンカラが占めるようになった。

いつも毛バリはどうしようかと迷う。魚は散々、毛バリやルアーを見せられる。すっかり偽物とバレバレなので、いかにして口をつかわせるかである。

それには他人が使わないサイズ、型、色の毛バリを用意すること。さらにスレた魚は口先で摘まむようにしかくわえないので、小さいハリの方が効果的である。

そこで今年はヒモ毛バリを改良(改悪)した。18番のハリと14番をハリスでジョイントし、これに18番が隠れるように白い羽根を束ねたものである。

藤沢周平の作品に「隠し剣鬼の爪」があり映画にもなった。これにならい「隠し鉤鷹の爪」と名付けた。辛そうなハリである。

追って来るアマゴが先を摘まんだとき、同時にハリをくわえてしまうという算段である。これで2匹釣れた。魚は痛いというより鷹の爪をかじって辛いという顔をしている。

雨の中、お昼をどうしようと思っていると、ヤナ場の軒先を借りるようにした、というSさんの声。今年もSさんがモツ煮込みカレーを作ってきてくれた。この日のために下準備で柔らかくしたモツカレーで身体はすっかり温まって午後の部へ。

傘に当たる雨音がバチバチと聞こえる勢いである。この雨で水温が更に下がったようで、活性が下がり、毛バリを追うことがなくなったのを機会に竿を納めた。

雨で花粉が飛ばなかったのはよかったが、翌日の風で今年も花粉第一号が飛来。すでに目はバチバチで鼻が詰まりだした。解禁は長い花粉症の始まりでもある。目がカユーイ。