北海道のポテンシャル その2 テンカラ天国

 

前日の二ジマスの取込み 中山さんのYoutube

今日は網走川水系から十勝川水系に行くことになった。中山さんと私の目標は川で天然ニジマスの60cmオーバーをテンカラで釣ることである。

しかし、川での60cmオーバーは通って、通って、通いつめても釣れるかどうかという確率らしい。さらに予定した数日がそれに重なることは偶然×偶然×まぐれの確率になる。

50cmなら出るかもしれないとガイドしてもらったのが十勝川支流の利別川(としべつ)の支流の○○ベツ川のまた支流の○○○川である。○○はアイヌ語なのでまったく憶えられない。ベツは川の意味のようだ。

途中、峠から雄阿寒、雌阿寒が見える。我らは阿寒湖ではなくいい子でいたので、いい子だったねと天気も晴れで迎えてくれた。

阿寒湖の手前で○○という2つの湖を望む双湖台に寄る。観光客の皆さん寒いようで長袖厚着である。半袖で快適なのは私だけである。さわやかぁ。この湖は禁漁らしいが、熊の巣窟を抜けて釣りにいく人もいるようだ。

○○川についてホッとした。広いし、河原があるし、中部のような大岩ごろごろではないので、遡行が楽なのだ。

昨日、我らの様子をみてガイドの村上さんがここならと選んでくれた。以前のガイドで52cmがでているそうだ。

まず毛バリのお試しをする。さっそくここならというポイントで、まず試しに私が10番のバーコードステルス毛バリを振る。

この毛バリは見えないのでストレス毛バリとも呼ばれている。自然に流す。反応なし。誘いをかける、沈めてみる、石を投げても出ない。

ははーん、これは毛バリかも。そこで、今度は中山さんが同じところを12番のドライフライを流す。数回流して出ない。今度は誘いを掛ける。ガガーンと出る。

そうなのか。水にうっすら濁りがある。魚は底にいるので小さい毛バリでは見えないので反応しないのだ。だからドライで誘いを掛けると、そのアクションで毛バリに気づいて出るのだ。わかった。大きなドライフライが正解だ。

そこで、この日のために12番に巻いたエルクヘアカディスに交換する。私もプライベートではドライフライテンカラをやるのです。

村上さんからは、それでも小さいとのアドバイス。6番、8番のドライでも問題なく出るらしい。ハリスは1.5号でいいとのこと。1.5号ならドラグが掛かって自然に流れないのでは? 北海道のニジマスは細かいことを気にしないとのこと。

事実、ドライフライのドラグが掛かろうが沈もうが関係なくガンガン食ってくる。1回、ガシッと掛けそこなってもまた出る。

全体にフラットな流れだが、ところどころのカーブや掘れたところ、流木の下などからはまず出る、出る、出る。サイズを望まなければいくらでも釣れる。

大きくカーブした隅の隅にたたみ半分くらいに2、3cmの厚さで泡がたまっている。魚にとってみれば泡が屋根になる日陰の隠れ場である。

「泡は打て、あわてて打つな」は鉄則である。本州ならイワナの着き場である。でもここはニジマスの川だ。でも打ってみよう。泡の上にポトッ。一投でポコッという小さなアタリ。食ってない。ニジマス? 

もう一度、もう1回。もう反応しない。なんだかわからないけど小さい奴だろう。

「中山さん、あの泡の中で反応あったよ」 さっそく中山さんが打つ。粘ること十投目ぐらいで、ガバッ。出たのはイワナである。斑点の大きなアメマス系のイワナである。

いるのだイワナが。ニジマスにいい場所をとられて、こんな隅の隅の泡の下で、すねて暮らしているのか。

ここはもともとお前たちの川だったはずだ。イワナやオショロコマだけで暮らしていたはずで、そこにニジマスが入ってきて駆逐されたのか。

アメリカ原産のニジマスはアメリカ人のように大食いで、パワー、パワーのパワー自慢で周りのことより自分中心なので、摩擦を嫌い、周囲に気遣う やさしい心の日本原産のイワナはすっかり居場所を譲ってしまったのだろう。

村上さんはガイドとのこと。ガイドとインストラクターの仕事は違うとのこと。ガイドはあくまでお客さんの要望に沿った場所に案内すること。

そのために魚種、サイズ、釣り人のレベル、季節、増水、渇水の状況に応じて満足してもらえる川を案内できるとのことである。

インストラクターは釣りの指導を仕事とすることである。その両方を兼ねるプロもいるらしい。インストラクターはその釣りの条件にはまれば強いが、条件が違った場合、場所のガイドは不得手であるようだ。

自分はガイドなので基本的に釣りのアドバイスはしないということで、我らのテンカラを見守るだけであるが、フライの腕がうまいことはテンカラ竿を振ってもらったことでわかった。

テンカラではロールキャストはしないが、フライラインに比べて各段に軽いストレートラインでロールキャストを見事に披露した。

フライマンだけどテンカラマンに近いと思うのはフライに対する考えである。

「ドライフライの場合、テールが2本だろうと3本だろうと、または付いてなくても全く関係ないし、ましてや水中の釣りのニンフの場合には、もっともっとかなりファジー」ウーン、テンカラマンである。

もう十分釣ったので帰ることにするが、まだ時間がある。そうだここで釣りましょうと案内してくれたのは○○川である。そこは狭いところでは3mくらいの川幅であるが、河畔の木々が高いのでブッシュを気にすることなく振れる。

誰も入ることがないようで踏み跡はないし、釣りゴミも落ちていない。

もういきなりアタリである。いくらでも釣れる。ぼろぼろになったエルクヘアカディスでも釣れる。もういいというくらいに釣れる。それでもこんな浅く、細い川なのに35cmも出た。

もう十分堪能した。村上さん、ありがとうございました。今日も6時までガイド、そこから弟子屈の町まで1時間半。暮れなずむ北海道の道を快走した。

明日はテンカラ初心者にテンカラを教える予定だ。北海道ならなんとかなるだろう。

釣行2日目の映像 中山さんのYoutube