放流魚を釣るのは難しい

 

5/3は毎年恒例の長野県根羽川テンカラ講習会。快晴の空のもと30名が集まった。

この講習会は20年あまりやっているのでこの講習会からテンカラを始めた人も相当な数になるだろう。

例年のようにテンカラの基礎の話の後、キャスティング練習。その頃にアマゴの放流がある。

この日、講習を受けた人は10名程度。キャリアの人がいろいろ教えてくれるのでほぼマンツーマンの講習になる。教える人も教えることで勉強になる。

なにせ大勢が入れ替わり攻めるので、放流魚といえどもほとんど釣れない。釣った匹数の大会にしたが優勝はわずか3匹である。

難しい中で子供が釣ったのはうれしい。テンカラが好きになるかならないかは釣れた!という感動にある。

この子はこれからずっとやるとのことある。お母さんに釣り道具を欲しいと言いなさいとお父さんの一言が聞こえた。

 

 

翌4日は関市のキクナイフのキクさん所属の自然○○倶楽部(だったかな)の講習会である。場所は板取川の管理釣り場。

子供の日の前日であるがGWとあって家族連れで大賑わいである。その横でオジサンたちが大人の日を楽しむ。

ここではニジマスを放流して講習である。放流された魚は川に驚き、いななき(馬ではない)オロオロして、しばらく口を使わない。

魚は底べったりでテンカラ毛バリでは無理。そこでこの時のためにとっておいたとっておきのビーズヘッド毛バリを現場売りなので2倍の値段の1個1000円で配る。ウソです。本当と思う人がいるのであえて書きます。

毛バリを魚のいる底までじっくり沈めたら軽く誘いを入れるとゴツッとアタリがあるので合わせ、「はい!釣れました」とデモンストレーションする。

誘いを掛けるのは誘いもあるが、ハリスが張ることでコツッと手に来るアタリがわかるからである。

皆さん、この方法で何匹か掛けるが、やがてビーズヘッドに慣れて通用しなくなる。そこでどうするか・・・ここからは絶対という方法がない。

両日とも直前放流された魚である。放流魚なら簡単だろうと思うがむしろ難しい。たしかに釣掘でイクラをつければすぐに食いつくので数匹釣るのは簡単である。

しかし、釣掘でもイクラに見向きもしないのがいる。餌を換え仕掛けを換えてもフンと無視するのがいる。

5/3はおおむね60〜70匹放流したアマゴで釣れたのは15匹程度である。この日は餌釣りにも放流があったが、餌釣りもほとんど釣れていない。釣れない!と早々に帰る人もいる。

5/4は40匹あまりのニジマスを放流して20匹釣れたかどうかである。

放流魚はなぜ難しいのか。群れで放流される中に慎重で警戒心が強く、状況をじっくり観察する魚もいれば、あまり考えず、すぐに食いつくおっちょこちょいな魚もいる。

まず、こういうのがハリにかかる。慎重で賢いのはそれを横目で見ていて「それダメ」。馬鹿な奴だ。

ハリ→釣られるという関係をすぐに学習するのではないかと思う。

仮に10匹いればあわてんぼうのお馬鹿が3匹、賢いのが3匹、あとは状況次第でお馬鹿になったり、賢くなったり。

つまり、全部がお馬鹿なら種族は維持できないので、賢いのもいなければならない。賢いがゆえにこれが最後まで生き残り、子供を残す。その子供の中にお馬鹿と賢いのがいて・・を繰り返しているのではないかと思う。

だから放流魚は半分釣るのも難しいと思うのである。しかし、自然渓流では縄張りをもつ単独行動である。毛バリ→釣られるという関係を学習する機会がない。

このため餌らしい毛バリに簡単に釣られてしまう。毛バリはそれらしければいいという理由である。

もちろん自然渓流でも毛バリを偽物、おかしい、本物ではないと見破る賢いのがいる。これが子孫を残し、またその子供に・・・である。日頃、テンカラの相手をしてくれるのはお馬鹿なのかもしれないと思ったGWであった。

さて私は、あなたは人間の・・・であろうか。