あぁ中寒狭川解禁

 

2月3日(日)は寒狭川(かんさがわ)中部漁協(中寒狭)の解禁日だった。

20年以上にわたり解禁日は皆参加である。雪の日、風の日、ひどい花粉の日、ミゾレ交じりの雨の日、雨が手首をつたって肘まで濡れながらも休まず竿を出した。

春近しを感じるこの頃は、たとえ成魚放流アマゴであってもそれなりに楽しいものだった。

だったと過去形になるのは、年々歳々、放流される魚が減り、釣り人も少なくなっているからだ。

ここはテンカラ、フライ、ルアー専用区(2/3はリリース推奨、2/4からリリース)なのだが、この日もフライマンがチラホラである。かってはフライマンの色とりどりのラインが青空に綺麗なループを描いたものだが。

案の定、魚がほとんど見えない。昨年より100Kg放流を減らしたようだ。漁協収入が減り、放流量が減り、釣り人が減り、そのため収入が減り・・負のスパイラルではないかと推測する。

それでも竿は出したい。フライマンの多くはルースニングなので、私もまねしてインジケーターのルースニング。

ハリは16番に金ビーズをつけてピンク胴に赤い糸を巻いたもの。このハリは管理釣り場のニジマスで爆釣した。

ニジマスもアマゴも同じペレットの餌だろうから、アマゴにもいいかもしれないという根拠のない読みがあたり、ルースニングでわずか2匹である。わずか2匹ですが、それがなにか。

上がってきたのは紅生姜を食べ過ぎたような体色のアマゴである。

しかし、後が続かない。尻まで水に浸かっているので脚が冷える。水温を計ると1℃である。1℃ ? たしかに岸際は凍っている。

来た来た。魚ではなくジンンジン来た来た。ジンジン痺れるくらいに脚が冷たい。脚が固まって動けない。ここでこけたら年寄りの冷や水の寒中水泳である。

解禁日とあって15名くらいのテンカラ仲間が集まる。ウドン、モツカレー、本人手製のチーズケーキ、私からはインフルエンザウィルス混入の座布団ピザ4枚である。

皆、食べに、喋りに来ただけで竿を出さない。若ものよ、と言うほど若くないが、どうした。古希の私はここで終わるわけにはいかない。古希は首だけではないのだ。コキコキ。

午後は誘いの釣りである。クイクイ引いてヨロヨロついてくるアマゴが食った瞬間に合わせるもので、これはこれで面白いが、なにせ魚が少ない。

魚が多いときは2匹、3匹とチエイスしてきて、食われてなるものかと横から食い上がる奴がいるなどで、寒いながらも楽しいが、なにせあっちでヨロヨロ、こっちでよろよろの単独なので競ってチェイスすることもない。

2時間水に浸かって1匹かけたところでポツリ、ポツリの雨とともに終了。

この寒空のもと、水に浸かってわずか3匹。本当にテンカラが好きなんだと自分ながらにあきれる。

よかったと言えば無風だったので花粉が少なかったことだ。とはいえ、心は繊細、花粉にもデリケートなので、少ないとは言え、目をかきむしり、鼻を垂らしながら降り出した雨の中、家路を急いだのだった。

北の安曇野通信