アマゴの電光石火を測る(その2) |
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アマゴが毛バリをくわえている最短時間は0.2秒ということがわかった。では釣り人が「あ!出た」と合わせをする時間はどれくらいだろうか。それを測ってみた。 図は装置である。魚が出たのに見立てて、パッと光る。「あ!出た」そこで合わせをする。 毛バリの代わりにした小さい紙が赤外線をカットする。光ってから赤外線を切るまでの時間が合わせの時間である。 合わせに要する時間は「光った→手が動くまでの脳内時間」と竿がたわみ紙(毛バリ)を切るまでの物理的時間である。 合わせ時間は0.3秒 詳細は省くが合わせの時間は0.3秒である。どんなにしてもこれ以上速くならない。つまり、0.2秒で離すアマゴに0.3秒で合せていたら掛からないのは当然である。 アマゴがバシャと0.2秒で出でても掛かるのは、出てから合せているのではなく、バシャと出る前に、魚が見えたなどで合わせを開始するので、タイミングが合うからである。しかし、これでは掛かる確率は低い。 アマゴの0.2秒と釣り人の0.3秒が勝負しても負けである。では、どうすればいいか。 最短時間と勝負しないことである。水中ならもっと長い間毛バリをくわえているので水中で掛ければいい。
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そこでアマゴが水中で毛バリをくわえている時間も測った。図をみると空中では0.2秒だったのが、水中ではもっと長い間くわえている。長いのでは1.1秒である。 毛バリをくわえるとき、エラを開いて水と一緒に毛バリを吸い込む。だから正解にはくわえるのではなく、吸い込む。 しかし、水の中では吐き出そうとしても水が抵抗になって吐き出すことができない。このため口の中に留まる時間(くわえている時間)が長くなる。 実験では最長で1.1秒であるが、実釣ではもっと長い間くわえているのを経験する。吐き出そうとしてモゴモゴしているのがよくある。 |
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釣りへの応用 だから毛バリを沈ませて流せばいい。沈ませてといってもテンカラの場合にはせいぜい5~10cm程度であるが、水中でくわえた場合にはパッと離さない。図のようにハリスがピンと張って、いわゆるテンションを感じるまでくわえている。 魚が毛バリを離す引き金はハリスがピンと張る魚にとっての「違和感」である。この刺激反射で離す。 実釣で「コツアタリ」を経験する。コツッ! あ!と思って合せても掛からない。 ハリスがピンと張ったときのピン!が手にコツッと来る。このコツッの時間が0.2秒である。それを0.3秒で合せていても掛からない。 最短時間で勝負しないためには、結局、いかに長く毛バリをくわえさせるかである。特にアマゴの活性がないとき にどうするか。そのために ・水中を流す ・ラインを細くする ・長くする ・流れなりに流す などの工夫をする。 フライのドライでも、ハリスをたるませて流れなりに流せば、ハリスが張るまで長い間、毛バリをくわえている。このためフィーダーレーンを自然に流すことが重視される。
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このようなことは実験しなくても、経験を積めばわかることであるが、経験でわかることをこの研究は裏付けたものである。 そうなのか、この結果で自分のテンカラにより自信がもてたと思ってもらえればうれしい。 さまざまなテンカラの研究を一冊にまとめたのが「科学する毛バリ釣り」(廣済堂出版)である。平成4年(1992年)初版から平成25年の9刷まで出版され、釣りの本としては異例の冊数が出た。 自慢しているようで恐縮であるが、この本を越える本は出ないと思っている。Amazonでは星4つ半。このHPを読んでいる方の中にも読んだよ、という人は多いのではないかと思う。ありがとうございました。神のご加護がありますように。 |
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