キャスティングの原理 |
感覚から説明できない キャスティングがテンカラの半分が持論である。 コップや盃に毛バリを落とす腕は必要ない。5~6m離れて洗面器ぐらいに落とせれば十分である。なぜなら魚が毛バリを見つけてくれるから。 講習会に参加する人のキャスティングレベルは様々だが、どんなに上手な人にもキャスティング原理の説明をする。 キャスティングはチカラの入れ具合、タイミング・・・様々な要素が複合している。人それぞれで受け取り方が違い、感覚が違うので指導者の感覚で説明するのは難しい。 「そこで、もっとチカラを入れて」・・このとき、どの程度のチカラなのか、感覚を伝えることはできない。 私が手を添えてキャスティングすればスピードやチカラ、タイミングを伝えることができるが、紙面や映像ではできない。 技術は感覚の複合なので、技術を言葉で説明するのは難しい。野球のバッティングはどうすれば打てる? 終身名誉監督の長島さんは「スーッと来た球をガーンと打つ」これは名言と思う。
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キャスティングの原理 しかしキャスティング原理は説明できる。毛バリが飛ぶ原理はシンプルである。原理がわかれば難しいことはない。 「手首を支点にして、竿をしならせ、竿のしなり戻しで飛ぶ」 跳ね上げ(バックキャスト) 跳ね上げのとき、イメージ的には斜め45度方向にラインを「強く」「速く」跳ね上げる。 竿をしならせるのが目的である。説明のために図では手首をつかんでいる。手首を支点にしてしならせる。 「強く」「速く」は感覚なのでどの強さか、スピードかをここでは説明できない。 前振り(フォワードキャスト) 一旦、後ろにしなった竿は、次にしなり戻しがある。このときの竿のしなり戻しがラインを前方に送る。このときも支点は手首である。 図のように、キャスティングは手首を支点にした前後運動である。動かす関節は手首だけ。手首を支点にすれば竿のしなりと、しなり戻しのときの竿のチカラを活かせる。 これをバックキャストのとき、肘を上げると竿がしならない。また、前振りのとき、前に飛ばそうと、手首や肘を前に出したり、肩を動かしたりすると支点が移動するので、竿のしなり戻しが活かせない。 ダーツの実験から 学生の卒業研究で全日本3位のダーツの選手の動作解析と視線解析をおこなったことがある。 ダーツの動作は実にシンプルである。肘を曲げ、伸ばすだけある。これだけの動作で投げる。 一方、ダーツの初心者は膝、腰、肩、肘、手首のあらゆる関節が動き、その都度一定していない。動く関節が多いほど誤差が大きくなる。 ダーツの選手は曲げるのは肘関節だけで、他の関節はピタッと動かさないので動きの誤差が少ない。実に理にかなっている。 キャスティングの原理はシンプルである。名人には自分の感覚で説明しようとする人が多い。しかし、自分の感覚と他者の感覚は違うので受ける人には伝わらない。 キャスティングは投球と同じで練習が必要である。いきなり大谷投手のようには投げられない。 練習が必要であるが、原理を知ることがキャスティング上達の近道である。原理は伝えることができるので、普及にも役立つ。 |