この人は誰でしょう。

 

この人は38歳の私です。こんな時がありました。

♫誰でもいつか年をとる。当たり前じゃないかそんなこと。加山雄三も親父バンドで歌っている。

年をとるのは誰でも平等だけれど、若い時の自分を見るのはちょっと。誰もが感じる感覚である。

1985年5月20日、NHKの「ウルトラアイ」に出演したときのものである。今から36年前である。

私は当時、仕事のかたわらアマゴやイワナが毛バリをくわえている時間の計測や、合わせの時間などを研究していた。

当時のことなのでデジタルビデオはなく、また超スローVHSビデオは極めて高かった。そこで毛バリにフォトセンサーをつけ、オシロで増幅し紙に書くという方法を工夫した。

その結果が、アマゴが毛バリをくわえている最短時間は0.2秒というものだった。「またたく間」「電光石火」で毛バリを離す時間が0.2秒というわけである。写真の2枚で0.2秒である。

魚種により毛バリをくわえている時間に違いがあること、水中でくわえている時間、合わせ時間の最短が0.3秒なので、0.2秒で毛バリを離すアマゴは釣れないなどである。

研究を月刊つり人に掲載していたが、それを読んだNHKが番組にしたい。当時視聴率20%だった「ウルトラアイ」で放送したものである。

さすがNHKである。当時でも少なかった超スロービデオの機材を持ちこんで、0.2秒が本当か、その瞬間を撮影した。

私は初めてのテレビ出演である。勝手がわからず少し緊張したが楽しかった思い出がある。

当時、テンカラ、フライマンの多くの人がこの番組をみた。その後、釣りメーカーの製品にも「0.2秒」という言葉が使われるようになった。

これが全国の名人との交流が始まるきっかけになり、私自身のテンカラの技術も知識も広がっていった。

今あるのは私の研究を紹介してくれたNHKのこの番組あればこそと思っている。あれから36年。光陰矢のごとしである。