雨になると活性する不思議

 

今年もシーズンが終わる。いつものことながらいろいろなことがあった。

その中で、雨になると魚が活性する体験が3回あった。

1回目は荘川水系のいつもの渓流。梅雨前の渇水の頃である。渇水のため魚の活性は今ひとつで雨が欲しい曇りの日である。

雲行きが怪しくなってきた。上流を見ると山がすっかり見えなくなっている。これは雨が来るな。

合羽は持っていない。間もなく雨になりシャツが肌に着く。ちょっと水かさが増えた気がした。

するとそれまでまったくアタリがなかったのに突然、ヤマメが活性したのだ。パシャとハネて毛バリを食うのもいてあっという前に5、6匹。どこにいたんだお前たち。

しかし、それも20分は続かなかった。ふたたびいつもの渓流に戻った。

2回目も同じ渓流である。季節は進んで梅雨に入り、お約束の雷雨が毎日ある頃である。この日は女性も一緒である。経験者だがこの渓流が初めてとあってこれまでボウズである。

今の天気は晴れだけれど雷雨は避けられない。

「大丈夫だよ。雨が降ったら活性するから釣れるよ」と声を掛ける。

案の上、激しい雷雨で一時、退避。雨が上がるとそこかしこでアタリが出て、女性も数匹のイワナを掛ける。「雨の後、釣れる」という予言はホントだったと驚く。

3回目は地元、段戸川でのこと。放流地点の魚の状況を調べに二人で。天候は晴れだが前線通過で雨が降るのは確実である。

放流地点まではいつもなら浅瀬ではカワムツ出るが、カワムツも出ない。ましてやアマゴも。

「カワムツも出ない、どうしたんだろう」なんて言葉を交わしながら遡行する。

晴れから曇りに、やがてポツリ、ポツリの雨が間断なく水面を叩くようになった。キタァー、急いで合羽を着る。

すると、それまでウンスンだった流れで入れ掛りになる。いつもなら1匹釣ったら出ないような瀬で何匹もである。

一歩も動かないで同じ流れから出る、出る。魚が毛バリを大胆に追うのが見える。

ハッチが急に始まったわけではないのに。

わずか30分ほどであったが2人とも10匹は越えた。やがてアタリは遠くなり、再びいつもの流れに戻った。

 

 

写真:インスタ dandoriverから借用

今年だけでなく、過去に何回も経験している。また鮎でも、にわか雨で突然入れ掛かることも経験している。

なぜなのか不思議である。いろいろなことが想像できる。

・天候が急に変わることによる気圧の変化

・雨により水温がわずかに低下する

・雨が水面を叩く刺激で活性する

こればかりは魚に聞いてみなければわからないが、聞いても答えてくれない。

鮎の体験を含めて共通していることは雨の日ではないことだ。

雨の日にさらに雨が降ってきたら活性したのではなく、すべて晴天→曇り→雨に短時間で変化していることである。すると気圧の変化かもしれない。

しかし、活性は長くは続かずせいぜい30分くらいで元に戻る。

答えの出ることではないが、天気予報を見ながらひとときの入れ掛りを期待する、そんな楽しみも来年に持ち越しである。

あぁ早く春になれ。解禁が待ち遠しい。その前につらい長い季節を過ごさなければならない。

皆さん、心安らかに。