この本は面白かった

 

ひまんちゅになり、じっくり本を読めるようになった。最近、読んだ本で科学的という視点から面白かったのを2つ。

【日本史サイエンス】

蒙古襲来、秀吉の大返し、戦艦大和の謎について科学的に検証したもの。3つのテーマとも、なるほどそうなのかと。

たとえば秀吉の2万の兵が明智光秀の謀反を知って、岡山から山崎まで8日間で戻ったとされているが、実際は。

たとえば兵の移動といったとき、せいぜい数百名程度が整然と移動する大河ドラマや映画のシーンを思い浮かべる。というか、それしかイメージできない。

しかし、本では2万の兵が移動するのに必要な馬は7000頭。馬に与える膨大な餌や水が必要。2万の兵の食料はおにぎりに換算して1日で40万個が必要。兵だけではなく、食料を調達する兵站にも多くの人間が必要。

兵は銃、刀、鎧、食料でおおむね30kgの装備をしていて、しかも8日間のうち5日間が雨だった。

ぬかるむ道でどれくらい行軍できるか、雨の中の野営はどうしたか、体力はどれくらい失われたかなど、あらゆる角度から分析して8日間で果たして可能だったのかを分析している。

こういう視点から分析したことに感服である。すごい。

関ヶ原の合戦では東西それぞれ10万、合計20万の兵が動いたわけで、これだけの兵が動くにはどれだけ大変だったかと思う。

昔からNHKの大河ドラマは見ない。2023年もまたまた「徳川家康」とのこと。またかという気がする。

信長、光秀、秀吉、家康。演じる役者からこんな顔をした人物だったのか、台詞やストーリーがすり込まれてしまうことが嫌なのだ。そうじゃないだろうと思いつつ見るのはつまらない。

ドラマなので史実に忠実でなくてもいいが、本のような観点から大河ドラマを作ってくれれば見ようか、という気になるのだが。

 

【カラスはずる賢い、ハトは頭が悪い、サメは凶暴、イルカは温厚って本当か?】

長いタイトルからわかるように、私たちが動物に抱くステレオタイプのイメージはことごとく違っているという内容である。

著者はカラスを研究する生物学者である。

カラスの研究者なので「カラスと目を合わせると襲われる?」「カラスは人を狙って糞を落とすのか?」「カラスはいじめた相手に仕返しをする?」「集団で報復に来るのか?」という質問があるそうだ。

回答はすべて「ない」

これらの質問に共通しているのは、カラスのやることをことごとく人間の行動のように解釈している点であるという。人間の行動をもとにカラスの行動を解釈するからというわけである。

サメは凶暴は、映画「ジョーズ」をみれば誰でもそう思う。だがサメは凶暴ではなく、食いちぎって餌を食べる、食べ方からそのように見えるのだと。

釣り人の解釈で魚の行動を説明するものの典型が「釣りは魚との知恵比べ」である。

魚に知恵があるかわからないが、釣り人の知恵が圧倒的で比べるまでもない。圧倒的な釣り人の知恵(道具、知識、情報)でも魚が絶滅しないのは単に魚の数が多いからである。

だが、ある種の魚は取り過ぎで絶滅寸前。魚に知恵があればこうはならない。

「釣りは魚との化かしあい」にいたっては魚が人を化かすのか?と キツネやタヌキでも人を化かさないのに。

化かすとまでは言わないが「釣りは魚と人の騙し合い」というのもある。騙すのは人だけ。魚で人を騙すのはワカ詐欺だけである。

このような耳に入り易いブレーズは摺り込まれ、子どもに、孫に伝わっていく。

ちょっと待てよ。人間の行動から魚を解釈するなという見方は、魚の行動を冷静に観察することにつながり、釣りの腕をあげると思う。タブン