一日おいて開田高原へ。国道19号線から開田高原に向かう黒川沿いの道が高度をかせぐにつれて、気温が下がっていく。開けた窓から入る風はまさに天然クーラーである。
トンネルを抜けるとパッと視界が開ける。開田高原である。
御嶽山の頂までくっきり見える快晴の日で、7年前噴火した山頂からは今も水蒸気が立ち上っている。
この日、初めて開田高原で竿を出すというテンカラ1年目のSさんを冷川(つめたがわ)に案内する。
10時の時点で水温12℃。
御嶽山から直流の冷川はつり人にも冷たい冷川として知られているが、案の定、まったく、ウンスン、てんで、まるで、である。
なんでそうなるの?
魚がいないわけではない。いくらでもいる。何がきっかけか沸くように釣れることがある。
冷川を木村冷子(気むらで冷たい女)と呼んでいるが、玉二温子になることがある。冷子で女、温子は玉が二つなので男である。
女になったり、男になったり。水温でもない、天候でも先行者でもない。なんでそうなるの?
長い間、テンカラをしてきたので、今さら、数だ、型だと言うことはない。若い人に私の経験を伝え、さらにテンカラが広がることを願うだけである。
渓流釣りの半分をテンカラにしたい私の夢のために。
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