苦行の鮎釣り

 

 

今から30年前頃まで鮎釣りに夢中になった。40台半ばである。

鮎の友釣りは循環の釣り。掛けた鮎をオトリにしてまた掛ける。掛けたオトリを...の循環がうまく行くときの鮎釣りは本当に面白い。

当時はよく釣れた。1日に72匹が記録である。そんな日は入れればというか、鮎を送り出して少し泳げば掛かる。足元で掛かる。

なぜその頃たくさん釣れたのか。鮎の放流、とくに湖産鮎の放流数が多かったからだ、1990年前ごろがピーク。まさに私が夢中になった頃だ。

それ以降、鮎熱が冷めていった。減少した放流数を補うために人工産鮎が増え、鮎の性質が変わってしまった。群鮎を釣る方法などかっての釣り方が通用しなくなったことがある。

また冷水病などいろいろあって、年1〜2回竿を出す程度に鮎から遠ざかっていった。

2年ほど前、ある機会に竿を出したとき、私の30年前の竿と仕掛けにびっくりした人が私の竿で釣ってみてくださいと。

竿は軽いし感度はまったく違う。仕掛けは複合メタルなどで複雑であった。

浦島太郎である。こんなに進化しているのか。あとどれくらい鮎釣りができるかわからないから、それならもう一度、鮎に夢中になろうと強く思った(その時は)

昨年から本格的に竿を出すようになったが命の危険のあるこの暑さである。30年前までの暑さとまるで違う。

先日も段戸川倶楽部メンバーの鮎釣りに参加したが熱中症のように呼吸が荒くなる。

腰まで水につかり、タイの水掛祭りのように上半身に水をかけまくったが、冷たいのは一瞬だけで再び灼熱である。

非常な(異常な?)暑がりなので、ほかのメンバーの感覚とどうも違うようだ。寒さに強いが暑さに弱い。

寒いのは服で調節できるが、暑いのは脱ぐ服がないのでなんともならない。真夏の鮎釣りは私には苦行でしかない、

秋口になり秋風が吹き始めるまで、少なくとも最高気温が30度を下回らないと竿を出す気にはならない。

それにしても鮎の仕掛けが複雑になっていて入門者にはハードルが高い。トーナメンターの仕掛けを初心者が真似してもトラブルばかりである。

もっと簡単な仕掛けで十分釣れる。鮎もシンプルが一番である。