ところがいまや英語が通用するトラウトのいる国ではテンカラが行われるようになった。もちろんフライフィッシング人口にはとても及ばないが。
図はアメリカで過去一年間、Googleで「tenkara」が検索されたトレンドである。X軸は実数ではない。相対的なトレンドを表す。
このように季節変動はあるが年間通してtenkaraが検索されている。
竿とラインと毛バリというミニマムな釣りがなぜ海外で人気が出るのだろうか。いろいろ考えられる。
1. テンカラで十分釣れるではないか。フライフィッシングのようにあれもこれも持つ必要がない。
2. だからお金がかからない。フライフィッシングはお金がかかる。
3. シンプルだから釣りの楽しさをダイレクトに感じる。
4. 質素を重んじる日本文化の魅力がテンカラにある。
フライフィッシングもルアーも輸入された釣りである。テンカラは江戸時代、あるいはそれ以前から行われていた日本固有の釣りである。
テンカラは海外に輸出できた唯一の釣りかもしれない。鮎の友釣りも韓国で行われるようになったが、世界的な規模での輸出はテンカラだけだろう。
テンカラは、必要なもの以外はもたないというかっての質素な日本人の暮らしの中から生まれたものである。
ものにあふれ、もっとほしい欲望社会において、必要なもの以外はもたず質素に生きることをテンカラから感じているなら、海外普及の意義は大きいと思っている。
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